陰茎には常に血液が循環していますが、普段は陰茎に入る血液(動脈血)と出て行く血液(静脈血)が同量のため、膨張が起こらず柔らかい状態になっています。
性的な興奮を受けると、神経からのシグナルによって動脈が拡張して陰茎に入る血液の量が増え、この血液が「陰茎海綿体」を膨張させることにより陰茎が硬くなります。
膨張した陰茎海綿体は静脈を圧迫するため陰茎から出て行く血液量が減り、膨張状態が維持されます。
EDは正式名称を「Erectile Dysfunction」といい、日本語では「勃起不全」と訳されています。
「満足な性行為を行なうに十分な勃起とその維持が出来ない状態」と定義されています。
現在ED治療薬として販売されている「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」は、いずれも勃起の際の陰茎の血管拡張を助ける薬です。
性的刺激によって神経から送られるシグナルは、いくつもの段階を経て最終的に血管を拡張させます。「ホスホジエステラーゼ(PDE)」という物質は、この経過を阻害する働きがあります。ホスホジエステラーゼにはいくつかの種類がありますが、この中で「タイプ5(PDE-5)」が勃起の際の血管拡張に関与しています。ED治療薬は、このPDE-5の働きを抑えることによって勃起の際の「性的刺激→血管拡張」というプロセスを円滑に行なわせるのです。
このように、ED治療薬は血管拡張に働きかける薬剤であり、神経への働きかけを行なうわけではないので、薬を飲んだだけで勃起するわけではありません。ED治療薬には性的興奮作用や性欲増進作用はありません。
EDは「勃起するのに十分な血液が陰茎に流れ込まれない状態」と考えることができます。原因としては、血管や神経のトラブルや薬の内服による「生理学的」なものと、ストレスなどの「心理的」なものが考えられます。
勃起には「血管の拡張」が必要なのですが、これは「血管がリラックスした状態」と考えることができます。ストレスや不安などの心理的な緊張状態が血管のリラックスを妨げることもあり、これがEDの原因となるわけです。